戸田均展 [地振り、風形、雷水解](ぢぶり、かざがた、らいすいかい)
HITOSHI TODA EXHIBITION
2018(平成30)年3月28日(水)~4月7日(土)
正午~午後6時 日・月曜休廊 最終日は午後5時まで
思うとおりにはならず、前後無く連れていかれ、或いは放り出されていく感じ。完成でもなく、前にも後ろにもいかなくなって、自分はもう入っていけなくなる瞬間がある、と、画家が話してくれたことがある。描くのではなく描かされる、無私ゆえの私を想う。完成という虚構を去りて、画家は未完ゆえの完を連ねゆく。何処へ「連れていかれ」ようとも、光と闇、水や土や風流れ在るところの“種”に帰り、其処から今この時を結び貫き、自ずからの実在―時間と非時間があざなえる縄のごとくに紡がれしもの―あらわる。「放り出され」、途方に暮れても、その先には歌があり、険しくも繊細な絵肌の奥には、屹立した深秘が宿るようだ。「危機に立つ肉体」とは暗黒舞踏土方巽の言葉だが、詩人吉岡實は土方の秘儀によせて「青い柱」と言った。舞踏との精神的対話浅からぬ画家の背骨は、混沌の中にまっすぐ立ち、そして青みを帯びている。(廊主)
略歴 1951愛媛県松山生まれ。1975創形美術学校造形科卒業。1976舞踏作品[正面の衣裳](土方巽 作・演出・振付)衣裳絵制作。1978個展(銀座・サトウ画廊)。1979第六感展(神奈川県民ホールギャラリー)。1990マブ・ワークショップ設立、`05まで各地に壁画制作(長崎ハウステンボス、今治国際ホテル、青山サバティーニ 他)。2008新鋭作家五人展(大丸東京店アートギャラリー)。小品展(西荻窪トライフル)。2009個展(神田・ギャラリー広岡美術)、`17まで6回開催。2015,2017個展(銀座・清澄画廊)。