たまふり[巻之三]東千賀+佐々木誠

《夢十夜―告示・みなそこ》東千賀
《夢十夜―告示・みなそこ》東千賀
《威孁妖貌 いつみたまようぼう》佐々木誠 令和六年 楠 彩色
《威孁妖貌 いつみたまようぼう》佐々木誠 令和六年 楠 彩色
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《威靈相貌 いつみたまそうぼう》佐々木誠 令和六年 楠 彩色
《威靈相貌 いつみたまそうぼう》佐々木誠 令和六年 楠 彩色
佐々木誠
佐々木誠
佐々木誠
佐々木誠

 

 

 [2024年の美術展、文人、2025(令和七)年最初の企画展]

 

2024年の美術展を振り返り、印象深い一つが、文人や文人画の精神の結び、あらわれです。4、5月に京都国立近代美術館で没後100年 富岡鉄斎展があり、10月からは栃木県立美術館で浦上玉堂展、そして12月にかけては東京都美術館で田中一村展が開催。

 

鉄斎は最後の文人と云われ、19世紀世界三大画家とも謳われるなどしましたが、その本質は志士でした。玉堂展は真の文人画家ここにあり、とタイトルが付され、なかなか見られない纏まった展示は圧巻で、玉堂がいて鉄斎あり、と、その歴史の縦軸を見る思いでした。一村展はこれほどの規模の一村展は初めてのことで、一村が文人の系譜にあることを明らかにした画期的な内容でした。

 

文人とは端的に言って、公と私の結びを各々が昇華させた遊びに生きた人だとかんがえています。鉄斎は画家と云われることを厭いました。鉄斎画は神遊び。いつも先人達や先祖、幕末維新期に落命した師友達と共に在り続けました。そしてその作品はいつも新しい。そういう真の遊びこそは、いかなる危機をも超えるでしょう。

 

令和七(2025)年最初の企画展は、文人の故郷とも言える茨城県古河市で開催します。会場となる古河市街角美術館附近には、日本で唯一の篆刻(てんこく)美術館や、河鍋暁斎生誕地碑、鷹見泉石記念館(渡辺崋山が描いた鷹見泉石像は国宝)、奥原晴湖(茨城県天心記念五浦美術館にて2月から企画展)画室「繍水草堂」、また、熊澤蕃山墓所などがあります。最後の文人富岡鉄斎は京都に産まれましたが、富岡家の遠祖は古河城主永井氏に仕へ、寛永期に藩主転封に従い古河から関西に移ったといいます。

 

さて、富岡鉄斎や河鍋暁斎等に多くのインスピレーションを受け、初期の細密画から「夢十夜」「階段」「万象九相」「落下胎」の各連作など、死や滅びの現実を見つめることで、生命との交感を希求し続ける画家、東千賀さんは今年89歳。そして、足利市立美術館や渋谷区立松濤美術館等での『スサノヲの到来―いのち、いかり、いのり』展、或いは昨年、岡本太郎美術館等での『顕神の夢』展に出展し、日本の風土、歴史、神話に自己の胚胎の原点を据え制作を続ける、現代日本木彫界に於て稀有な存在である佐々木誠さん。お二人の二人展は銀座でも開催し、その御作の結び、共振が、画廊の時空を超越するような異次元を生む如しでした。

 

銀座での「たまふり」第1回展から11年。この度、文人達の魂、その志誠宿る古河という地でのご縁、「たまふり巻之三」開催を有難く思います。たまふりは魂振り。人間のイノチの本源、魂のよみがえり。令和のご一新にあって、お二人の作品の結び、産靈(ムスヒ)が、新た代をことほいでいます。
(さわらび社)

 

2025古河テキスト.pdf
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sakurai yoshi

 

sasaki makoto

 

higashi chika

 

[不合理ゆえにわれ信ず]展