佐々木 誠 galerie sawarabi onlineshop
天神地祇という言葉が、佐々木誠氏のこれまでの作品名に幾つか見られる。皇祖たる天神(あまつかみ)系氏族と、土地の神、氏神たる地祇(くにつかみ)系氏族―それらは太陽(天/あま)と土・水(地、海/あま)の関係にも置き換えられる―の調和と統合ゆえに、日本の歴史の連綿―さざれ石の如く―はある。
こんにちの文明間の衝突は、ここに回避の智恵もあろうが、それは久しく覆い隠されているかのようだ。佐々木氏の仕事は、その智恵を今に顕現させることにもなるのではないか。
作品から滲む敬虔さと、頂門の一針たる絶対的ちから、そして、「代(よ)くだれりとて自ら苟(いやし)むべからず。天地の始は今日を始とする理なり(神皇正統記)」―氏はかつて正統記の一文を展覧会タイトルとした―とのやむにやまれぬ決意を以て。(さゞれ石展より/廊主)
≪作家略歴≫昭和39年(1964)東京生まれ。昭和59年(1984)より木彫を中心に制作活動を始める。日本の風土、民族的歴史に自己の胚胎の原点を据え、神話や信仰遺品から造形をイメージし制作を続けている。平成9年(1997)彫刻創型展、文部大臣賞。平成22年(2010)個展(羽黒洞)。平成24年(2012)アートフェア東京シャッフルⅡブース出品。平成26年(2014)個展(ギャルリさわらび)、「スサノヲの到来―いのち、いかり、いのり」(足利市立美術館、平成27年(2015)DIC川村記念美術館、北海道立函館美術館、山寺芭蕉記念館、渋谷区立松濤美術館に巡回)。
たましずめ(魂鎮め)とたまふり(魂振り)、二つながらにして神道では「鎮魂」を意味し、たまふりは衰微した生者の魂を蘇らせます。日本の神話や歴史精神を制作の源泉としてきた彫刻家の彫る木霊達が、現代という時代を生きる私共の魂に迫ります。根源に発し時代を貫く精神との共振が、次代を結び、産霊(ムスビ)の力、芸術の生命、今を生きる力を鼓舞するでしょう。(たまふり展より/廊主)