ギャルリさわらび  いはばしるたるみのうへのさわらびのもえいづるはるになりにけるかも

[平成25年(2013)8月、ギャルリさわらび10周年記念「櫻井陽司デッサン展」ご案内文より]


名も知らぬ画家の作品との出会い、その感動を機に、平成15年(2003) 8月、銀座一丁目にある戦前のビル(旧銀座アパートメント)に画廊をオープンいたしました。大震災の日の邂逅を経て、今年、ギャルリさわらびは、開廊から10年目を迎えます。10周年記念展として、ギャルリさわらびの原点である「櫻井陽司デッサン展」を開催いたします。現代という大きな時代の転換期を見据え、新たな一歩を踏み出します。

これまで誠にありがとうございました。そしてこれからも、どうぞ宜しくお願い申し上げます。


感動、そして大震災での邂逅
一本の線の持っている力、生命、純んだかがやき、研ぎ澄まされた剣が一瞬にして敵を討つかのような緊張感、そして、あたたかさ。その画家の描いたデッサンは、理屈を超えて私の心に深い感動をもたらし、そのやまない感動が、10年前にギャルリさわらびを開廊する原動力となりました。
東日本大震災が起こった日、私は水戸在住でした。足の踏み場もなくなった家の中の壁に、かろうじて掛かっていた小さな蝋燭の油彩画に、はっとさせられました。知っているはずの絵が、全く別の絵に見えました。小さな蝋燭の炎は、煌々と燃え上がり、その時の尋常ではないかがやきに息をのみました。その光に比べ、目の前のことに対して為す術もない自分への腹立たしさ、無力感・・。様々な感覚が一気に押し寄せ、からだが震えるのを感じました。藝術の役割というもの、自ら為すべきことを、この時、否応無く直感させられる思いでした。

画家 櫻井陽司について
デッサンと油彩画を描いた画家の名は、櫻井陽司(さくらいようし1915-2000)。新潟県生まれ。13歳で上京。絵は独学。85歳で亡くなるまで、絵筆と共に在り続けた人。

「万巻の書を読」み、「目茶苦茶にまっしぐらに勉強」し、「もっともっと感動」する。「頭の中にコンパスや定規があるような用意された絵」ではなく、「対象にぶつかって飛び散った血液のような絵」。「どんなはげしい絵でも静けさがなければだめだ」。「九十以上生きて、線一本引いて死のう」。櫻井氏の言葉に、その作品、生き方が顕現しています。小手先でこしらえるのではなく、やむにやまれぬ「血」が、結果として生み出したのが櫻井藝術です。合理主義、理性主義的なものに価値を置きがちな現代にあって、忘れていた大切なもの、かけがえのないものを想起させ、或いは、線一本のための無私の精神といった、藝術の根源に触れるであろうものを深く考えさせるのです。

櫻井氏は多くの画家を独学で学びましたが、中でも彫刻家のアルベルト・ジャコメッティ(1901-1966)と、「最後の文人画家」と言われる富岡鉄斎(1837-1924)は、重要な存在でした。二人の作品は、その時代が産み落としたものであると同時に、今も新しい。櫻井氏の絵も、時代と格闘しながら、たった今描いたようなみずみずしさがあります。
「藝術は、趣味の問題ではない」と言ったジャコメッティと、「新しい画家に言ふて聞かしたい言葉は、<万巻の書を読み、万里の道を徂き、以て画祖をなす>と唯これだけぢや」という鉄斎の言葉が、櫻井氏の生き方、そして作品と重なって見えます。

桑沢デザイン研究所でデッサンの専任教授をされていた画家の東千賀氏は、櫻井氏の作品について「その迷いの無い筆線は、ハヤブサが空中で獲物を捕らえる時に一気に間を詰めるときの無駄の無い一線を思わせる。その全身的能力によって、一撃で獲物を丸ごと捕らえるような線。このような線は、絶えず鍛錬習練を繰り返した上に、描くという常に一度きりの勝負に身を挺してきた人によって、始めて生み出されるものだ」と述べています。
東氏は櫻井氏の作品と出会い、70歳代半ばにして大きく眼を開かされたと語っています。

現代は、危機の時代と言われます。生命のかがやきある藝術が、幾多の時代の危機においても、こころの拠り所となったことでしょう。「自分も捨て、何もすてて」、それからしか、本当に為すべきことは為せない。そのことを、櫻井氏が遺してくれた作品たちが、一本の線が、教えてくれているようです。

櫻井陽司デッサン展―ギャルリさわらび10周年記念 2013831()928()

ギャルリさわらびは、画廊の原点である、「櫻井陽司デッサン展」に回帰します。そして、新しい10年に向けて、櫂を漕ぎ出したいと思います。

時代の申し子であると同時に、如何なる時代であろうと貫く光を宿した線。ギャルリさわらびは、その光を追い続けて参りたいとかんがえています。

デッサンとは、素描。もと、基本、根源。其れがあってはじめて、新しいいのち生まれる。
ギャルリさわらび 田中壽幸

「デッサンこそ最後迄の目的である すべてがデッサンにかゝっている」
櫻井陽司

 

 

画廊名

  ギャルリさわらび

創業

  平成15年8月

廊主   田中 壽幸
所在地

 〒104-0061 東京都中央区銀座1丁目9番8号 奥野ビル2階

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連絡先

 tel:050-3635-3001   fax:03-5159-0041

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廊主の横顔 茨城県生まれ。大学は働きながら慶應義塾大学法学部通信教育課程を経て、京都造形芸術大学芸術学部芸術学科歴史遺産コース編入、卒業。早稲田大学ビジネススクールアートマネージメント講座(ビジュアルアート)修了。拓殖大学日本文化研究所新日本学講座修了。名も知らなかった画家(櫻井陽司)のデッサンとの出会いを機に、平成15年(2003)、ギャルリさわらび開廊。これまでに櫻井陽司展、東千賀展、佐々木誠展、木村浩之展、垂直ノ存在社展等を企画。大学でも研究した富岡鉄斎及び、櫻井研究を続けている。日本の芸術・歴史・思想・こころ・文化、その独自性と普遍性について思索し続けたいと考えている。水戸で東日本大震災に遭い重傷を負うも、櫻井芸術と邂逅。大学では岳友会を作り山に行きましたが、最近はなかなか行けません。

 

 

いはばしるたるみのうへのさわらびのもえいづるはるになりにけるかも

(万葉集)

 

歴史は血、藝術は歌。
連綿と受け継がれてきたもの、それゆえの今、・・新しい時代へ。

 

 

 

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